国連大学は「2050年までに世界人口のほとんどが設計寿命が過ぎたダムの下流域に住むことになる」と2021年の報告書で伝えています。
大きなダムの老朽化・維持費の高騰・異常気象の影響を踏まえたリスク、およびダム撤去を検討する重要性について、この報告書で知ることができます。
2021年2月初出記事を再編集
ダムの目的と水力発電
そもそもダムの目的とはなんでしょうか。
大小含めてダムの目的は、発電だけではなく、用水確保や洪水防止もあげられます。
水力発電は、ダムで堰き止めてできた貯水池より落ちる水流を利用。火力発電などのタービンに相当するのが、水車です(上図参照)。
詳しくはWebメディア《でんエネ学》の「ダムの役割を解説」をご覧ください。
設計寿命を迎える大規模ダム
国連大学 水・環境・保健研究所の報告書『Ageing water infrastructure: An emerging global risk』(2021年)によると、地球上5万8,700基の大規模ダムのほとんどが、1930年から1970年にかけて建設され、50年から100年の設計寿命であることを紹介。
とくに大型コンクリートダムは、建設から50年が経過した時点から「老朽化の兆候を示し始める可能性が極めて高い」と指摘しています。
その例として、貯水池へ流入した土砂の堆積が増えることなどがあげられています。
日本では、大規模ダムが3,130基あり、その平均築年数は100年以上だということです。