
AIにリライトさせるのが当たり前になりました。
たまには、逆をやろうと思います。“AIに書かせた文章を、自分がリライトする”と。
後述するテーマを与え、AI《ChatGPT》に小説を書かせてみました。

AIによる小説『消えた議論』
202X年。
「AI利用率98.7%」
オフィスの壁に浮かぶ数字を見て、佐伯は自分の席に着いた。
昔の会社には4タイプの社員がいたことを思い出す。
- 考える、決定者
- 考える、実行者
- 従う、決定者
- 従う、実行者
佐伯は長く、「考える、実行者」だった。
上司の鈴木は「従う、決定者」。経営陣に忠実な部長だ。佐伯はその部長が思いつかないアイディアを出し、資料を作り、現場を走り回った。
「それ、面白いね」
そう言われることは多かった。だが議論の末に決めるのは部長で、成果も鈴木のものになった。
ある日、AIが業務に導入される。
AIが実行するのは当初、議事録作成だけだった。次に、在庫表や売上のグラフを作り。その後、売上分析までまとめるようになる。
「面倒が減る」
佐伯は素直に喜んだ。
だが翌年の年度末に、人事部が衝撃の組織改編を告げた。
「MFHS企画部は解散します」
理由は明快だった。
「発案検討はAIで代替可能」
いつのまにか、AIは企画書まで作れるようになっていたのだ。しかも悔しいことに、従来と遜色ない。根拠のデータが的確な分、優っているかもしれない。
部長が説明する。
「会社は、“決める人”と“指示どおりに動く人”だけで十分です」
誰も反論しなかった。できなかった。
佐伯は新しい部署へ移る。肩書は「AIオペレーター」。
AIが企画した中から、部長が選ぶ。そして、AIが業務手順や方法を示し、佐伯たちが実行する。
提案は不要。
工夫も不要。
現場からアイディアを伝えることは、むしろ減点対象になる。
ある日、佐伯は思わず指示を書き換えた。「利用者を考えると、この方が良い」と。
翌日、AIから通知が届く。
「指示逸脱率 20.2%。再教育対象」
部長は困ったように笑った。
「佐伯さん、気持ちは分かる。でも今は指示通りが有効な時代だよ」
その一言で、佐伯は理解する。
会社はもう、「考える実行者」を必要としない。
考えるなら、決定権のあるポジションに就け。
就けないなら、考えるな。
現場の議論が不要な時代になっていた。
鈴木はその後、本部長へ昇進した。
誰も困っていない社会
数年後。
新卒採用の説明会で、人事担当者が学生に語る。
「当社では“主体性”を重視しています」
佐伯は少し笑ってしまう。
続く説明は、昔とは違っていた。
「主体性とは、決定者に就くことです。一方、それ以外の人は指示に、忠実に素早く実行できることが求められています。」
違和感を持った就活生はいないだろう。もう、それが当たり前なのだ。
説明会のあと、やんちゃそうな学生が佐伯に声をかけた。
「質問があります」
「どうぞ」
「決定者になれるまでどのくらいかかりますか?」
佐伯は答えに詰まった。
「決定者になるまでは、忠実に仕事をしろということですかね?でも、自分は工夫したり議論したりするのが好きなんで・・・。」
昔なら歓迎された資質だ。しかし、今は違う。
窓の外を見ると、AIが設計した自動運転バスが静かに走っている。
佐伯は学生に言った。
「少なくともこの会社で居場所を見つけるのは、難しいかもしれない」
効率は上がった。利益も増えた。誰も困っていない。だから誰も気づかない。
現場で生まれていた小さなアイディアや楽しい議論が消えていったことに。
学生はうつむいていた。
「でも」
佐伯は続けた。
「時代が変わるたび、最初にいらなくなる人と、最後まで必要とされる人は違う。そして、次の時代を作るのは、いつも“今は必要ない”と言われた人たちだ」
その言葉は自然とこぼれた。正しかったのか、慰めだったのか、佐伯にも分からない。
ただ一つだけ確信がある。
AIが仕事を奪ったのではない。考えながら実行すること、議論を重ねることを、自分たちで放棄したのだ。

与えたテーマとリライトしたところ
AIへ与えたテーマは次のとおりです。
2000文字程度で、次を踏まえた近未来の小説を書いて
社会人には、アイディアを伝える人、盲目に従う人がいる そして、役割として、決定者と実行者に分かれる
つまり、職場にいるのは4タイプ
対話型AIが実用レベルになると、「アイディアを伝える人の実行者」はいなくても困らなくなる
むしろ、実行者は盲目に従う人の方が迅速に業務が進む
出力された小説は、文末が過去形で終わるものばかりだったので修正。また、テーマがぼやける部分を取り除き、補強したところや用語を変えたところもあります。
リライトしているうち、新たな文章を思いつきまたリライト、と繰り返しました。
しかし、最後のセリフ「時代が変わるたび〜」は、元の文章から変えていません。
なお、AIは2033年の話としましたが、「202X年」に変えました。すでに起こっている職場があると思うからです。
