東日本大震災の日、東北にいた全日本プロレスとの記憶

投稿者: 歴史探偵・高丸
初出:2021年3月

大地震の後

「ガーン!ガーン!ガンガンガンガンガン!!」
取材で訪れていた、すすき野(横浜市青葉区)のマンションのエレベータが大音響と共に揺れた。
「地震だ!」

エレベーターから脱出

慌ててボタンを押し、3階フロアに転がり出た。そのまま階段を駆け下りて外に出ると、目の前に停めてあった車が大きくバウンドして、その上の電線は縄跳びのロープのようにくるくる回って揺れていた。

宙に浮いているような、酔っ払っているような…そんな不思議な感覚に襲われながら、50メートル先にある嶮山公園(横浜市青葉区)まで走った。これまで経験したことのない地震。公園には慌てて飛び出してきた近所の人たちが大勢、不安げな表情で佇んでいた。

すぐに自宅に連絡を取り安否を確認。無事を確かめ、ホッと胸をなでおろし会社に戻った。しかし、その時その瞬間。想像を絶する恐ろしい悪魔が東北の地を飲み込もうとしてた…なんて、誰が想像できたであろう。

夜、家に帰ってテレビのニュースを見た時の衝撃!映像が現実のものだと認識するのにしばらく時間がかかった。そして、宮城県沖が震源だと聞いた瞬間、昨日の浜ちゃんの言葉がよみがえってきた。

2011年3月9日、三陸沖地震

3月10日の晩、浜ちゃん(浜亮太選手)たち三人と近所の居酒屋で一緒に飲んでいた。東北遠征のため、翌朝バスで宮城県の石巻に行くのだという。

「地震が続いてるじゃないですか。ちょっと怖いんですよね」
生ビールを飲みながら、浜ちゃんがボソッとつぶやいた。

3月9日夜、東北で地震があった。震源は三陸沖、マグニチュード7.3の大きな地震だ。その後も小さな余震が連続していた。不安を払いのけるようにジョッキをあおる浜ちゃん。いつもの陽気さはない。早朝の出発ということで、その日は早めにお開きとなり、3人そろってひと足先に寮へと帰っていった。

大地震のとき、仙台南部道路上》へつづく