研究職から転身したWebライターへ、大学生たちが質問

Webライター女性

Webライターの仕事をしているFさんへ、栗芝・榮谷プロジェクト(専修大学 生田キャンパス学生チーム)がインタビューしました。

私たちは「ふつうってなんだろう」をテーマに掲げ、記事を作っています。

名前
Fさん
職種
Webライター
備考
業務委託とアルバイトの兼業でWebライターの仕事をしているFさん。前職はなんと研究職に就いていたそう。なぜWebライターに転身したのか、Webライターの魅力について…。また、働き方という視点から「ふつう」について感じることをお話ししてくださりました!

一日の流れ

タイムスケジュール

本日はよろしくお願いします。さっそくなんですけど、Webライターというお仕事の一日の流れから教えていただけますでしょうか?

 そうですね…朝は7:00には起きてます。出社時間が10:00なので、それまで身支度をしたり移動したりという感じです。
 今は、業務委託とアルバイトの兼業という形で、ライターのお仕事をさせてもらっています。週5~6日ほど働いているのですが、ほぼフルタイムなので、夜の19:00頃までは仕事をしています。お昼や休憩は、その合間に挟んでいます。

Webライターというお仕事

Webライターというお仕事はどのようなことをなされるのですか?

 Google検索で上位に表示される記事を目指しており、より多くのユーザーさんが検索を通じて悩みを解決できるような、ニーズに応える記事を書いています。
 今までは主に、飲食店の紹介や地方自治体のPRの記事などを書いてきました。場所は津々浦々で、全国47都道府県に渡り書いています。流行りのスイーツのお店や駅ビルに入っているカフェ、ホテルのラウンジ内にあるレストランなどの記事も執筆しました。

執筆する記事に関しては全部依頼という形なのでしょうか?

 全部依頼です。アルバイト先から直接案件をいただいたり、知り合いのツテで紹介してもらうということもあります。職場の方から「こういうのが今あるんだけど、やってみないか」と声をかけていただくこともありますよ。

そうなんですね。だいたい一本の記事を書くのにどのくらい時間がかかるんでしょうか?

 記事によりますね。早いものだと、2時間で一本書けます。内容も多くて、さらに深掘りするような記事だと8時間くらいかけることもあります。校正も含めると、さらに時間がかかることもあります。
 報酬は、執筆時間ではなく、一つ一つの案件ごとに入ってくる形が多いです。

Webライターを選んだきっかけ

Webライターとして働くきっかけなどはありますか?

 社会情勢の変化が大きなきっかけです。前は研究職をやっていたのですが、ちょうどコロナ禍が始まってしまった時期に転職活動をしていました。
 なかなか次の転職先が決まらない中で、未経験から始められる点と、元々ライティングが好きで仕事にしてみたい、という背景もあり思い切って選んでみました。

研究職からWebライターへの転職というお話でしたが、前職ではどのようなことをなされていたのですか?

 大学での専門分野を活かして、就職した企業で医薬品の開発に携わっていました。治験薬の効果を確かめたり、細胞などを使用して実験もしていました。
 ただ、実際に働いてみると、ライフワークバランスや人間関係のところが少し私とは合っていないなと思うことも多かったので、転職活動を始めました。

そうなんですね。先ほどWebライターは案件ごとの報酬だとおっしゃっていたと思うのですが、そのような働き方の変化には抵抗はなかったのでしょうか?

 ある程度覚悟はしていましたが、案件を常に獲得するために、継続して仕事探しをしないといけないのは大変だなと思いました。
 最初はフリーランスとして独立することも考えていたのですが、こうした現実の面も考えて、今のハイブリッドな働き方になりました。アルバイトと業務委託の兼業をすることで、自分の収入を調節することができます。
 結果として、ほとんどフルタイムで週5~6日働いているため、勤務時間はそこまで短くないのですが、好きな事をしているので充実感があります。
 実績の分だけ評価され、報酬が入ってくるところが働きがいにもつながっているので、Webライターの職を選んで良かったなと思っています。

Webライターのやりがい

鎌倉にあるお寺カフェの一室
鎌倉にあるお寺カフェの一室(Fさん撮影)

転職して、Webライターとして働いてみてどのようなところにやりがいを感じますか?Webライターの魅力について教えていただきたいです。

 1番のやりがいは、頑張りが形になるところですかね。自分が行った仕事の成果が目に見えやすいところが大きなポイントだと思います。
 Googleなどで検索したときに自分の書いた記事が画面上に表示されると、執筆した記事がちゃんと役に立っているのかなという実感があります。
 あとは、実際にクライアントさんのお店の紹介などをした時は、記事掲載後に「来店者数が増えました」というお声をいただけることもあります。そういった時は、お役に立てたなという想いで、嬉しくなりますね。

それがやりがいにも繋がっているんですね。やはりGoogleなどで上位に表示されるのはとても難しいことなのでしょうか?

 難しいと思います。と言うのも、どの記事を上位に上げるのかはGoogle側が判断しているんですよね。しかも、その基準が結構コロコロ変わるので、教科書的にこれが絶対に正しいという方法がないんです。
 そのため、常に試行錯誤をしないといけないというのが難しい点だと思います。最近の傾向としてどのような記事が多く書かれているのか分析をしながら、次にどんな記事を書くのか考えていくことをやっていますね。

なるほど、紹介したいトピックを魅力的に執筆することだけが正解というわけでもないんですね。Fさん自身はどんなところがWebライターに向いていたと思いますか?

 実際にユーザーがどうやって検索するのかを想像することができる、考えるのが好き、というところが向いていたんじゃないかなと思います。
 私は、ネットサーフィンが好きで、寝る前など時間があるときは自分が興味を持っている事以外についても広く見ています。好奇心が強い部分が幅広い視野を持つきっかけになり、それが結果的に仕事にも活きていると感じることが多いです。

学生時代の経験などで、Webライターの仕事につながっているなと感じることはありますか?

 数字に慣れていたというところですかね。感情とか感覚的なものではなく事実に基づいて、データで判断する習慣が今の仕事に繋がっていると思います。
 感情や感覚も大切だと思いますが、どちらも必要で、バランスが1番大事だと思っています。自分の感性を大事にしながらも、他の記事の傾向から事実をデータとして捉えて分析すること、感覚と理論を混ぜながら執筆することが、この仕事には求められていると思います。その部分は、学生時代の研究で経験を積めたことが良い方向に繋がったと思います。

一見関係ないように見える研究職での経験も今に繋がっているんですね!前職との比較もそうなんですけれど、他の仕事と違ってWebライターの働き方という面で魅力だと感じることはありますか?

 リモートワークができることだと思いますね。Webライターは、パソコン一台さえあればどこでもできる仕事なんですよね。リモートワークという働き方により、移動に対する疲労感がなくなったことで、体調管理がしやすくなったと思います。

Fさんにとっての「ふつう」と今後の展望

趣味の庭園散策
趣味の庭園散策(Fさん撮影)

Fさんにとって今後の展望などはありますか?

 そうですね。まずはライターとしての経験を積んで、より多くの記事を書きながら、いずれは本の出版などもしてみたいと思っています。今まで書いた記事の総集編じゃないですけれども、色々なところの紹介記事を一つにまとめた本などを作れたらいいなと思っています。

本の出版ですか!素敵な目標ですね。最後にFさんにとって「ふつう」とはどのようなものだと考えますか?

 難しい質問ですよね。その答えは一つだけじゃないと思っています。時代とか地域によっても変わってくると思いますが、私の一個人の意見としては、「日常」かなと思います。
 取り巻く環境も自分も含めて日々変化し続けて存在しているので、上手く折り合いをつけて付き合っていく「日常」というのがふつうってことなんじゃないかなと思います。
 「ふつう」というキーワードそのものを考えると、個性のある人を否定する時に使われることも多いと思っています。私も過去に「変わり者」と言われることもあって、「ふつう」じゃないことにコンプレックスを抱いていた時もありました。
 特に日本には、同じであることが美徳という傾向があるのかなと感じていて、対立するつもりなんて全くないのに、違う意見を言っただけで、対立関係になってしまうなんてこともありました。
 私の希望としては、違いがあることに過剰反応するのではなく、「ふつう」という捉え方が変わっていき、個性が共存できる社会になっていってほしいですね。そのためにも、それぞれが居場所を作れる環境づくりというのが必要なのかなと思います。
 また、私は今非正規雇用という立場なのですが、やはり社会では正規雇用が「ふつう」で、非正規雇用は「ふつうじゃない」という風潮があると思うんですよね。収入面での安定性や待遇に違いはありますが、どちらが良いとか正解というのはないと思っていて、それぞれに良さや魅力があると思います。なので、働き方という面でも、もっといろいろな人が自分に合った居場所を作りやすい環境や社会になれば良いなと思っています。

居場所づくり、素敵で大切な考え方だと思います。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

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